真夏の夜。
Credit: dORA*.s @ Flickr
炎天下のなか、一日中海の家のバイトで立ちっぱなしだった俺はクタクタになった体をベッドへと投げ出した。
そういえば今日は海でおしっこしたらサメがくるのかガチ物理で実証してるやつとか
変な奴が多かったなあ。パリピだかなんだか知らんが勘弁して欲しい。
とにかく、ああ、ようやく寝れる。。電気を消し布団に潜り込むと静かに眠りがやってきた–
“”PoooOOOOOOoooOOOOoooNNNNN””
悪魔の囁きに、火照っていた俺の背筋は氷点下へと凍りついた。
最悪だ。また奴がやってきた。
昨日から全く窓は開けてないし、線香も焚いてるのに。
一体なぜ?どうやって…
すぐさま俺は電気をつけてあたりを伺った。時折聞こえる甲高いあの音が、奴の存在を確かなものにするが…姿はどこにも見えない。
俺はしばらく息を止め、じっと空を睨みつけた。音が近い。必ず奴は現れ、俺の血を吸いにくるはずだ。
その時、ふとくるぶしのあたりに違和感を感じた。まさか。
俺のくるぶしのあたりに、うすピンク色の小さな丘がくっきりと出来上がっていた。
手遅れだったか — 俺は自分の布団のうえに頭から崩れ落ち、自分の敗北と無力を知った。
絶望の中、俺は毒づいた。
なぜ人間はこれほどまで科学を発達させながら、線香という原始的な形でしか彼らと戦えないのか。
そもそも、あいつらに存在意義があるのだろうか。
いっそ人類の総力をあげて、
蚊を絶滅
させてしまえばいいのに ——–
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