地殻変動の記憶。
では、巨大地震が起こるとサンゴはどうなるでしょうか?
はい、大きく揺れます。しかし、それだけではありません。
津波の科学第二回でお話したように、巨大地震が起こると「地殻変動」が起こるんです。
地殻変動には、隆起↑と沈降↓のパターンがあります。
これがサンゴの語る、「巨大地震の記憶」です。
さあお待ちかね、先ほど紹介した2つの形から彼らの記憶を読み取ってみましょう。
帽子型
まずは「帽子型」のサンゴ。断面図は、こんな形をしています。
左の図を見てください。
水中で成長を始めたサンゴは、丸く同心円を描きながら成長していきます。
ある時、巨大地震で海岸が隆起したとしましょう。
すると、成長していたサンゴの上部は、突然、海水面から顔を出して死んでしまいます。
一方、かろうじて海水中に使ったままの下部は、海水中で生き続け、海水中で水平方向にへと成長を続けます。
こうして右の図のような、「帽子型サンゴ」が誕生します。
カップ型
では、「カップ型」のサンゴはどんな記憶を語るのでしょう?
海水中で成長を続けていたサンゴが海水面に達すると、水平方向に成長を続けます。
すると、左の図のように平らな形を作りますね。
そのとき、巨大地震が起こり沈降現象が起こるとどうなるでしょう?
地震とともに一気に海岸は沈降し、サンゴ全体が水に浸かってしまう。
すると、右の図のように側面の上部からは同心円状に、側面はさらに水平方向へと成長を続けます。
「カップ型サンゴ」の誕生です。
このようにサンゴはその形から巨大地震による隆起・沈降の記憶を伝えています。
地域ごとサンゴの隆起・沈降の分布・大きさは、巨大地震が発生した場所・規模を教えてくれます。
さらに、巨大地震が発生した年代も教えてくれるのです。
というのも、海水中のサンゴは成長しながら『木の年輪』のような帯を作ります。
この年輪の数を追っていくことで、過去の巨大地震の年代を数年の精度で知ることができるのです。
まとめ
こうして、サンゴは人間の知らない記憶を語り、巨大地震の場所・規模・年代を教えてくれます。
サンゴを用いた巨大地震の研究は、観測点がなかった時代の地震や、まだまだ観測網が発達していない地域の地震を記憶・記録する、『天然の観測機器』といっても過言ではないかもしれません。
まだまだ歴史の浅い地震学が、ものすーーーーごい長い歴史をもつ地球の過去を知るには、非常に重要な研究なのです。
ああ、そうだ!
東京の海もきれいにして、『サンゴ地殻変動観測網』を観測しよう!!
(東京の海もきれいになればなあ。。。)
以上、をさむでした〜。ではでは。
ああ、海行きたい!
注)サムはサンゴを勝手に切り取って持って行きましたが、これは多分犯罪です。前置きはあくまでもフィクションであり、登場人物は実在の人物とは一切関係がありません。
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