【夏必見!】サメが何キロ先の臭いをかぎ分けることができるか、拡散方程式を使って物理的に考察してみた

とうとう梅雨が明けた。

燦々と照りつける太陽。汗ばむ陽気。
マイクはテレビから流れてくる熱中症対策の番組を見ながら海水浴の準備をした。

留学で日本に来てから3か月、ようやく日本にも慣れてきた。
思い返せばこの三か月、気を抜くこともできず、つらい思いを強いられてきた。
その最たる原因は現地の学生とのコミュニケーションであったことは言うまでもない。
マイクのつたない日本語ではせいぜい意思疎通が精いっぱい。
クラスの仲間内のテンポの良い会話にはなかなかついていけなかった。

しかし、今日のマイクには不思議と自信があった。
梅雨が明け、気持ちが晴れていただけではない。
一昨日、クラスメートのエミが絶対に受ける爆笑ネタ、”WHY JAPANESE PEOPLE!!”
を教えてくれたからである。
徹夜で厚切りジェイソンの動画も予習し、準備は万端だった。

今日はマイクの歓迎会を兼ねたクラス会だった。
7月終わりのテスト期間前最後の息抜きということで、海水浴&バーベキューパーティーをすることになっていた。
40人もいるクラスだが、参加人数は10人を切っていた。

マイクからすると、納得のいかない人数だがったが、日本の大学二年生はどうもバイトやらサークルやらで忙しいそうだ。

むしろ今日来てくれたやつとは今後仲良くできそうだ、そう考えることにした。

横浜で横須賀線に乗り換えた。
少し混んでいる車内だったが、圧倒的フィジカルでスペースを確保した。
半径1mには誰も入れない!!
すさまじい気迫とフィジカルでマイクは不可侵領域を作り上げた。
しかし、その不可侵領域にやすやすと入ってくるやつがいた。エミだった。

自然と笑みがこぼれる。
もう抑えられなかった。
エミにたどたどしい日本語で伝える
「キノウ。。ガンバッってレンシュウシタンダ。。」
突然キリッと顔が引き締る。眉間にしわを寄せる。大きく息を吸う。

“WHY JAPANESE PEOPLE!!!”

 

BBQは楽しかった。
真夏の日差しの中、酒を飲み、肉を食らった。
案の定、マイクは”WHY JAPANESE PEOPLE!”を連発し、意外にもそれがウケていた。
エミは終始苦笑いしていた。

適度に酔っ払い、おなかも満たしたら海辺で遊ぶしかない。
クラスの男女何人かはビーチバレーを始めようとしていた。
エミは既に海に入っていた。ボディーボードを持っている。
(*お酒を飲んで海に入るのはよくないことなのでマネしないようにしましょう)
そばにクラスの男がいた。
けしからん。

割って入っていこうと思ったが、急に尿意を催した。
あれだけ酒を飲んだ後だ、しょうがない。
マイクは人影が少ない岩陰に向かった。
少し海の中に入ると意外にもその一帯だけ水が深く、マイクは胸まで浸かっていた。

「海は偉大なトイレだ」

かつてそんな名言を残した父を思い出しながらマイクは用を足した。

少し冷静になると、熱い日差しに対して海の水はひんやりとしていて心地よかった。
このまま泳いで戻るか、とぼんやりしながらマイクは考えた。

マイクは犬かきをした。
というかマイクは犬かきしかできなかった。
泳ぐのは得意ではなかったが、地面がすぐ下にあったので安心できた。
ちょくたま「こつん」と何かが足に当たるのがその証拠だ。

マイクはふと下を見た。

おかしい。地面は犬かきでは足が当たらないところにあるはずだ。

そのとき何かが視界をよぎった。

マイクは顔面蒼白になった。

“why japanese people…”
マイクは声にならない叫び声をあげた。

そう、やつがいたのだ

jaes

 

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投稿者プロフィール

大地
大地
東京大学物理工学科卒業。現在ブランダイス大学にて物理(ソフトマター・生物物理)を専攻中。Ph.D.1年目。好きな筋トレはトライセプスエクステンション。好きなビールはIPA。

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