「フェーズドアレイ気象レーダ」
このアンテナを気象レーダーに転用した技術について,NICT(情報通信研究機構)や大阪大学らが現在研究を行っています(#1).
まず,上下に首を振る代わりに電波の発振タイミング制御で上下方向のビーム方向を変えます.機械的に動かすより格段に速く電波を出すことができます.
さらに,返ってきた電波を128本のアンテナでそれぞれ受信し,コンピュータ上で合成することによって,上下方向の全ての角度の観測を同時に行う技術を採用しています.
その結果,雨雲全体を観測するのにかかる時間は10-30秒に短縮されました. これだけ早ければ,積乱雲が急激に発達していく様子も詳しく観測できます.
とても便利そうですが,実用までには色々な問題があるようです.例えば,30秒に1回の観測ができるということは,1日当たり取れるデータが今までよりずっと多いということ.従来にくらべて70倍ものデータ量となっています.
これは一種の「ビッグデータ」.上手く取り扱うことができれば(それが大変なのですが),豪雨の直前に予報を出すことができると考えられています.
さらにその先,どのような気象条件でゲリラ豪雨や竜巻が起こるのかということも,また分かってくるかもしれません.
まとめ
今回は「フェーズドアレイ気象レーダー」をご紹介しました.
人の目では見られない雲の中の水分を”視る”ための気象レーダー.
「備えあれば憂いなし」と言うように,あらかじめ大雨が予測できているかどうかで,状況は大きく変わります.10分でも20分でも前に豪雨を予報できるのなら,豪雨災害もぐっと減るはずです.
どんな天気予報がここから生まれるのでしょうか.”新時代の予報”に期待です!
hama
*/参考資料
#1 放射線影響研究所HP 「放射線とは?」より引用 (2016年6月12日) http://www.rerf.jp/general/whatis/index.html
#2 NICTプレスリリース (2012年8月31日) 『日本初 「フェーズドアレイ気象レーダ」を開発』 http://www.nict.go.jp/press/2012/08/31-1.html
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