生物はありとあらゆる方法で生きるために光を使っていますね。ここでいう光とは、可視光だけでなく、それ以外の波長の光も含みます。つまり、図1の赤外線、紫外線なども含めて光と定義することにします。
ただ、生物によって光を認知する方法はそれぞれです。
図1 光と波長 (出典:農研機構)
あなたはいつ視覚を使っていますか?
本を読むとき。パソコンを使うとき。すれ違いざまに人をよけるとき。いくらでも例は挙げられますね。
動物の世界はもっとシビアですね。視覚が生死を左右します。
草食動物はなるべく早く肉食動物を見つけられるように、視野がほぼ360°あるといわれています。逆に肉食動物は遠近感が重要なので、目が前についていますね。
鳥類は遠くにいる虫などの獲物を見つけられるように、視力がとてもよいといわれています。それに対して深海にすんでいる魚は視覚が退化しています。
昆虫はどうでしょう。蜂が黄色と黒に反応するのは有名な話です。また、昆虫の中には紫外線を見ることができるものもあります。
また、植物も「視る」ことは出来ます。まじかよ!と思うかもしれませんが…
ひまわりやアサガオが太陽の方向に葉を向けるのは有名ですね。
これは一般的な「見る」の定義とは異なりますが、ここでは光を何らかの形で認識することを「視る」と定義しましょう。
どのようにしてどのような光を見ているかは生物によって異なります。
紫外線や赤外線を見ることができる生物は、我々とは全く違う世界が見られていることでしょう。
そういった生物は必要に迫られて今の視覚を取得したのではないかと思います。
しかし、「視る」ことに関して、地球上の生物は全て、ある一つの共通項があります。
それは太陽です。
私たちの身の回りにある自然の大部分は、何らかの形で太陽からの光を散乱しています。
つまり、生物が太陽が放出する波長の光を見ることができるというのは、自分の外界を視覚を使って感知できることとほぼ同義になります。
図2に太陽のスペクトルを示します。実際、私たちが「視る」ことができる可視光の領域で非常にエネルギー(=明るさ)が高くなっているのが分かると思います。
まとめると、地球上で共通の光源である太陽、こいつを知覚できるようになるのが進化の過程では非常に重要だったわけです。
図2 太陽のスペクトル(出典:放送大学)
へ―そうだったのかー
と、言いたいところですが、面白いのはここからです。
考えてみてください、太陽は自ら光を発しているから見えますよね?
でも、私たちが普段見ている多くのものは光を発していません。
だって太陽が沈んでしまっては、何も見えなくなってしまいますからね!
では私たちは普段何を見ているんでしょうか?
>>>next: 3/4 視覚をカガクする ~私たちは何を「視る」のか~
投稿者プロフィール
- 東京大学物理工学科卒業。現在ブランダイス大学にて物理(ソフトマター・生物物理)を専攻中。Ph.D.1年目。好きな筋トレはトライセプスエクステンション。好きなビールはIPA。
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