津波の伝わりかた
まず津波という波は、どのようにして進んでいくのか考えていきましょう。
この伝播現象が起こるとき、大きな役割を果たすのが「重力」です。
海が静かな時、海水面の高さは、水に働く地球からの引力と自転による遠心力がつりあう高さ「平均海水面」に等しくなります。
つまり、この平均海水面の高さで安定して静止しています。
このような状況の中、地震の地殻変動によって盛り上がった水はどうなるでしょうか?
水は安定的な平均海水面の高さまで戻ろうとして①下向きに運動を始めます。
(ちょうど僕たちがジャンプすると地上に戻るのと同じイメージです)
下向きに運動する水の塊によって、平均海水面下の②水は横へ押し出される。
そして横に押し出された水は、さらに横の水を押し出します。
このとき同時に、水は③水圧が小さい鉛直上方向にも逃げるように運動します。
こうして、④海水面の盛り上がりが周りに伝わるのです。
この現象をエネルギー論的な観点から見てみましょう。
高校のときに習った「力学的エネルギーの保存則」を思い出してみてください。
まず、地震による地殻変動によって隆起した水の塊は位置エネルギーを獲得します。
この位置エネルギーが水の動きを引き起こし、運動エネルギーに変換されます。
さらにその運動エネルギーによって周りの海水面が隆起し、再び位置エネルギーに変換されます。
このように津波は、位置エネルギーと運動エネルギーの交換を絶えず繰り返しながら、地殻変動により持ち上がったときに獲得した位置エネルギーを伝えていくのです。
>>>next: 3/4 津波はエネルギーを伝えやすい
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